階段がつらい方へ|変形性膝関節症のリハビリで家事を続ける工夫|瀬戸整形外科クリニック|山陽小野田市の整形外科

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階段がつらい方へ|変形性膝関節症のリハビリで家事を続ける工夫

階段がつらい方へ|変形性膝関節症のリハビリで家事を続ける工夫

洗濯かごを抱えて二階へ向かう途中で、膝が止まるとき


洗濯かごを抱えて二階の寝室へ向かう途中、手すりにつかまって一息つく。そんな場面が増えると、家事や仕事をいつまで続けられるのか気がかりになります。この記事では、階段で膝が痛む理由と診察で確認すること、リハビリの進め方、家事で膝への負担を減らす工夫、受診の目安を順に整理します。


この記事の要点まとめ


  • 階段では上り下りとも膝に負荷がかかり、痛みの原因や状態は診察で確認します。
  • リハビリは筋力や動作に合わせて進め、自宅運動は痛みや腫れを見ながら調整します。
  • 荷物を小分けにして手すりを使う工夫を。痛みの継続や腫れ、歩行の変化は受診の目安です。

変形性膝関節症では、なぜ階段で膝が痛むのか


上りで体を持ち上げるとき、下りで体を支えるときの違い


階段を上るときは、太ももの前の筋肉が膝を伸ばして体重を持ち上げます。下りでは同じ筋肉がブレーキ役に回り、膝を曲げながら体を受け止めます。どちらも平地を歩くより膝にかかる力が大きく、変形性膝関節症で軟骨がすり減っていると、下りだけでなく上りでも痛みが出ることがあります1。


診察で確認する膝の状態・筋力・歩き方


診察では、痛む場所、腫れや熱感、曲げ伸ばしの範囲、太ももの筋力、歩き方や立ち座りの様子を確かめます。必要に応じてレントゲンで骨の変化を、超音波検査で関節内の水や周りの組織を確認します。階段での痛みは半月板や腰の病気から生じる場合もあるため、膝の痛みだけで病名を自己判断しないことが出発点です。


膝の変化が進む速さは人によって異なる


「何年くらいで進むのか」というご質問をよく受けますが、期間を一律に示すことはできません。体重や筋力、活動量、膝の形などが関わり、年単位でゆっくり推移する方もいます。画像上の変化が大きくても痛みが軽い方もいれば、その逆の方も。年数より、今どの動作で困っているかを基準に考えていきます2。


階段と家事を続けるためのリハビリの進め方


リハビリで目指すのは、膝だけでなく動作の改善


リハビリでは、太ももやお尻の筋力、膝の曲げ伸ばしを整え、それを立ち上がりや階段の上り下りといった実際の動作につなげていきます。運動療法と膝の痛みや動きやすさとの関連は、多くの研究で報告されています3。ただ、運動だけで病気の進行を止められるとまではいえません。体重管理や一日の活動量の配分もあわせて見直します。なお、レーザー療法などを運動に組み合わせた場合の上乗せについては、まだはっきりしない点が残っています4。


自宅では椅子に座った膝伸ばしから始める


椅子に深く腰かけ、片脚ずつゆっくり膝を伸ばして数秒止め、ゆっくり下ろします。最初は片脚5回程度から。回数や頻度は、痛みの出方と診察の結果に合わせて調整します。筋力運動は続けた期間や続けやすさと結果が関係するという報告もあり5、少ない回数でも無理なく続く量を探していきましょう。腫れや強い痛みがある日は休んで構いません。


運動した晩に痛みが増えたら負荷を見直す


動画で見た運動を試した夜に痛みが増した、という相談は珍しくありません。運動中に痛みが強まる、運動後に膝が腫れる、翌朝まで痛みが残る。こうした反応は、回数や種類を見直すサインと考えてください。数日休んでも痛みや腫れが引かない場合は、運動を再開する前に受診を検討しましょう。


洗濯物を運ぶ日も、階段と家事の負担を減らす

洗濯物を運ぶ日も、階段と家事の負担を減らす

手すりがある階段は、荷物を減らして一段ずつ


片手で手すりを持てるよう、荷物は小分けにします。一般的な目安は「上りは痛みの少ない脚から、下りは痛む脚から」。一段ごとに両足をそろえて進む方法も選択肢になります。手すりの位置や膝の状態によって合うやり方は変わるため、ご自宅の階段を想定しながら、診察やリハビリの場で確認しておくと安心です。


洗濯物や買い物袋は、一度に運ぼうとしない


洗濯かごは半分ずつに分け、往復の回数が増えても一回の重さを軽くします。一階で干す、よく使う物を一階に置くといった置き場所の見直しも、階段を使う回数を減らす工夫です。買い物袋は左右に分けて持つと、体が傾きにくくなります。手すりのない階段で荷物を抱えたまま昇降するのは控え、ご家族と分担する選び方もあります。


立ち上がりや玄関の段差では、支えと足元を確認する


品出しでの立ち座りや玄関の段差では、台や壁など安定した支えに手を添え、体の向きを急に変えないようにします。杖やサポーターが役立つ場面もありますが、合うかどうかは膝の状態次第です。つまづく回数が増えてきたら、膝だけでなく歩き方も含めて相談してください。


山口県で膝のリハビリを相談するときの受診目安


痛みが続く・腫れる・つまづきが増えたとき


休んでも痛みが続く、膝が腫れる、仕事や階段の移動に支障が出ている、つまづく回数が増えた。こうした変化があれば、整形外科への相談を検討してください。転倒を繰り返している場合も、骨や筋力の状態を含めて確認していきます。


親が歩けなくなったら、運動より先に受診を


急に体重をかけられない、転倒後に歩けない、強い腫れや発熱がある。このような場合は自宅での運動を控え、速やかに医療機関へ連絡を。高齢の方が歩けなくなったとき、入院や介護サービスが必要かどうかは、原因と生活状況を確かめたうえで判断されます。


整形外科のリハビリは週何回通うのか


通院の回数や期間は、膝の状態、目標とする動作、自宅での運動状況によって変わります2。山口県では車で移動する方も多く、無理なく通える頻度を含めて計画を立てることが、続けやすさにつながります。当院に限らず、通院先を検討する際は、仕事の予定と照らし合わせて無理なく受診できる日を考えておくことも大切です。リハビリの費用は保険の負担割合や内容、医療機関によって異なりますので、受診時にご確認ください。診察では「洗濯物を持って階段を上ると途中で痛む」のように、困る場面を具体的に伝えていただくと、計画を立てやすくなります。


よくある質問


Q. 変形性膝関節症のリハビリはどれくらいの日数がかかりますか?


A. 膝の状態や目標とする動作、自宅での運動の続け方によって異なるため、一律の日数は示せません。筋力運動は数か月単位で続けた経過を確認しながら、通院の間隔を見直していくのが一般的です。


Q. 変形性膝関節症を進行させない方法はありますか?


A. 進行を確実に止める方法は確立していません。そのうえで、太ももの筋力を保つ運動、体重管理、膝に負担の大きい動作の工夫などが、日常生活で取り組める内容として挙げられます。


Q. 変形性膝関節症は階段を上るときにも痛みますか?


A. 下りで痛みが出やすい方が多い一方、上りで痛む方もいます。体を持ち上げる際にも膝には大きな力がかかるためです。ほかの病気が関わることもあるため、続く場合は診察で確認しましょう。


Q. サポーターや杖は使ったほうがよいですか?


A. 膝の安定感や歩きやすさにつながる場合がありますが、合う種類や使い方は膝の状態によって異なります。自己判断で選ぶ前に、診察時に相談されると安心です。


Q. 再生医療という選択肢もあると聞きました。


A. 膝に対する再生医療は自由診療(公的医療保険が適用されない)で行われるのが一般的です。代表的なものに、ご自身の血液から取り出した成分(PRPなど)を膝に注射する方法や、ご自身の脂肪などから採った細胞を培養して注射する方法があります。血液から成分を取り出す方法では、採血と注射を1回から数回、数週間おきに行い、その後数か月かけて経過をみるのが一般的な流れです。細胞を培養する方法では、脂肪などの採取から注射までに数週間から1か月以上かかることがあります。


費用の一般的な相場は、血液から成分を取り出す方法で1回あたり数万円〜数十万円程度、細胞を培養する方法では総額で100万円を超えることもあり、方法や回数、事前の検査の有無によって大きく異なります。これは一般的な相場であり当院の費用ではありません。当院の費用は診察のうえでご案内します。


注射部位の痛みや腫れ、感染などのリスクがあり、経過には個人差があります。リハビリなど保険診療で行う治療とあわせて、医師と十分に話し合ったうえで検討してください。


参考文献


1. 公益財団法人 日本医療機能評価機構. Minds ガイドラインライブラリ. https://minds.jcqhc.or.jp/

2. 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会. https://www.jarm.or.jp/

3. Fransen M, McConnell S, Harmer AR, et al. Exercise for osteoarthritis of the knee: a Cochrane systematic review. British Journal of Sports Medicine. 2015. PMID: 26405113 / DOI: 10.1136/bjsports-2015-095424

4. Ahmad MA, A Hamid MS, Yusof A. Effects of low-level and high-intensity laser therapy as adjunctive to rehabilitation exercise on pain, stiffness and function in knee osteoarthritis: a systematic review and meta-analysis. Physiotherapy. 2022. PMID: 34654554 / DOI: 10.1016/j.physio.2021.03.011

5. Marriott KA, Hall M, Maciukiewicz JM, et al. Are the Effects of Resistance Exercise on Pain and Function in Knee and Hip Osteoarthritis Dependent on Exercise Volume, Duration, and Adherence? A Systematic Review and Meta-Analysis. Arthritis Care & Research. 2024. PMID: 38317328 / DOI: 10.1002/acr.25313


瀬戸 信一朗

医師


瀬戸整形外科クリニック

院長

瀬戸 信一朗

▶ 監修者プロフィール

経歴
2004年
山口大学医学部 卒業
山口大学医学部付属病院 卒後臨床研修
2005年
山口労災病院
2006年
山口大学医学部付属病院整形外科学講座へ入局
2007年
山口県立総合医療センター レジデント
2009年
周東総合病院
2012年
山口大学医学部 臨床助教
2014年
山口県立総合医療センター 整形外科 部長
2017年
瀬戸病院 副院長
2020年
瀬戸整形外科クリニック 院長
2022年
山陽小野田医師会 理事
資格・所属学会
日本整形外科学会 整形外科専門医
日本整形外科学会 認定リウマチ医
日本リハビリテーション学会 リハビリテーション専門医
日本手外科学会 手外科専門医
日本プライマリ・ケア学会 認定医・指導医
国際マッケンジー協会認定セラピスト
日本スポーツ協会 スポーツドクター