骨粗鬆症治療の目的は?|瀬戸整形外科クリニック|山陽小野田市の整形外科

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骨粗鬆症治療の目的は?

骨粗鬆症予防の目的は何でしょうか?
私は、「腰椎圧迫骨折」「大腿骨頸部骨折」を防ぎ、健康寿命を延ばす事が主な目的と考えています。
80歳を超えてくると、腰が曲がって仰向けにも寝られない円背の方がおられますね。
腰椎圧迫骨折(背骨の骨折)が何ケ所にも生じると、腰椎の前方ばかり潰れる為、腰が曲がってくるのです。後遺症で腰痛が持続する事もあります。
骨が非常にもろくなると、「いつの間にか骨折」という何もしなくても骨折する事が良くあります。カーテンを開けただけで骨折した方もおられました。



1.女性は男性に比べ、3倍以上骨折しやすい
 女性の骨量は閉経を迎える50代から急激に減少し、男性よりも骨粗鬆症になりやすいです(下図は骨粗鬆症の予防と治療ガイドラインQ&A2011より引用)。また、それに伴い女性は男性に比べ3倍以上大腿骨頸部骨折を起こしやすいといわれています(Orimoら:Arch Osteoporos.2009)。
その為当院では、50歳以上の女性、75歳以上の男性に、骨密度検査をおすすめしています。





2.どんな検査を行うのか?
 骨密度を測定する前に、以下のサイトで自分で簡易的に骨折リスクを確認してみましょう(骨密度の入力は不要です)。
https://www.sheffield.ac.uk/FRAX/tool.aspx?lang=jp
これはWHOが開発したツールで、身長や体重など簡単な質問に答えると、10年以内の骨折リスクを簡易的に評価できます。骨粗鬆症健診に用いられていますが、10年以内の骨折リスクが何%以上であれば精密検査が必要になるかは、明確になっていないとされています(骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015)。
私は10年以内の骨折リスクが10%以上であれば、骨密度検査を行う方が良いと考えています。

 骨密度測定には様々な機械があります。手や踵で測る簡易的な機械もありますが、骨粗鬆症の治療と予防ガイドライン2015によると、腰椎/大腿骨の骨密度を測るDXA検査が最も望ましいとされています。
 当院では、「腰椎」「大腿骨」の骨折を防ぐ観点から、Prodigy Fuga C(寝ているだけで5分以内に計測が可能で、X線被ばくも胸部レントゲン撮影の約6分の1)を用いた、腰椎/大腿骨のDXA検査を行っています。予約制ですので、検査をご希望の方は受付までお申し付け下さい。






3.「骨粗鬆症の治療=薬を飲む」ではありません
 若いうちに検査をして、骨密度が平均と比べ低い場合は、良い生活習慣を身につける事で骨密度減少を防ぎ、将来的な骨折を予防する事が最も望ましいと考えています。
 腰椎圧迫骨折などの脆弱性骨折がすでに生じている場合や、ステロイド長期内服中、骨密度が低く骨折のリスクが高い場合は加療が必要になる事があります。薬による治療で骨折リスクを40%以上減らす事が出来るというエビデンスが複数あります。



4.骨粗鬆症の予防習慣とは?
 予防の2本柱は、「栄養」と「運動」です。骨を作る為には、特に「カルシウム」と「ビタミンD」が必要です。
 
 「カルシウム」は1日750mg必要と言われていますが、日本人の1日の平均カルシウム摂取量は約550mgと言われていますので、約200mgが不足しています。
 おすすめは毎日牛乳を200mℓ飲む事ですが、難しい場合はチーズなどの乳製品、小魚、大豆製品、海藻などで摂取するようにしましょう。

 「ビタミンD」は魚や卵黄、きのこに含まれ、日光浴でも生成されます。

 「運動」に関してですが、週3回30分のウォーキングを行うと、ウォーキングを行わなかった群の腰椎骨密度が1.7%減少したのに比べ、腰椎骨密度が1.1%増加したという報告(Hatoriら:Calcif Tissue Int.1993)があり、特に中~高負荷の運動(階段昇降・ジャンプ・踵落とし)で骨密度増加作用が高いと言われています。運動による転倒回数の減少や骨折予防の報告もあり、運動の実用性は証明されています。

「食生活と運動習慣」で「骨粗鬆症と骨折」を予防し、健康寿命を延ばしましょう。

日本整形外学会専門医・日本手外科学会専門医 瀬戸信一朗
瀬戸整形外科クリニック
院長
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