前回のブログでは、肩腱板損傷の症状・原因について、ご説明をさせていただきました。
肩の腱板が部分的、または、完全に切れた状態(=腱繊維に穴が開く)である、肩腱板損傷。
肩腱板損傷が起きると肩の中からコリコリと音がしたり、肩を回しにくくなるなどの症状が現れやすくなります。
今回は、「肩腱板損傷が起きたときは、治療(手術を含む)が必要なの?」のお話です。
目次
■肩腱板損傷の治療方法は?
◎切れてしまった肩腱板が自然にくっつくことはほぼありません
まず、申し上げたいのが、「一度、切れてしまった肩腱板は自然にくっつく(=治る)ことはほぼない」という点です。
筋肉は、肉離れを起こしたとき、放置しても、ある程度であれば、筋肉がくっつく場合があります(肉離れを起こしたときは、整形外科で診療を受けることをおすすめします)。
くっつくこともある筋肉とは異なり、肩腱板を含む腱は、切れたときに放置して自然にくっつくことはほぼありません。
◎肩の状態や患者様のご希望に合わせて、様々な治療・ケアにより、肩関節の状態改善を図ります
自然にくっつくことはほぼない、肩腱板。
肩腱板が損傷している場合は、以下のような、様々な治療・ケアにより、肩関節の状態改善を図ります。
[肩腱板損傷の治療・ケア方法]
①薬物療法(痛み止めの飲み薬、湿布)
②肩関節内注射(ステロイド注射など)
③運動器リハビリ(インナーマッスル筋力訓練・可動域訓練・レッドコード)
⑤物理療法
⑥手術(後述します)
{肩関節の状態改善とは?}
肩関節の状態改善とは、「肩の可動域を無理のない範囲で増やしていく」ことです。ただし、肩関節の状態改善は、患者様のご希望によって、可動域や力の入れやすさなど、治療のゴールが異なります。肩腱板損傷に対する、治療のゴールについては、次の項でお話しします。
■肩腱板損傷の治療のゴールとは?手術は必要なの?
◎腱板の状態や症状、患者様のご希望により、治療のゴールが異なります
肩の腱板が部分的、または、完全に切れた状態(=腱線維に穴が開く)である、肩腱板損傷。
肩腱板損傷が起きているときは、肩腱板の状態や症状、患者様のご希望により、治療のゴール(目指すところ)が異なります。
[肩腱板損傷の症状]
・肩の痛みや肩の動かしにくさなどの症状はあまりない
・肩の痛みや肩の動かしにくさがある
・肩の痛みや肩の動かしにくさがあり、日常生活に支障がでている
・肩の痛みや肩の動かしにくさがあり、スポーツ・格闘技に支障がでている
・寝ているときなど、安静時にも肩が強く痛む
上記のように、肩腱板損傷は肩腱板の状態により、それぞれの患者様で症状が異なります。これらの症状に対し、「手術をしなければならないの?」と聞かれれば、答えは「必ずしも、手術は必要ではない」です。
なお、「必ずしも、手術が必要ではない」のは、肩の痛みや肩の動かしにくさがさほど大きくないケースです。日常生活に大きな支障がでている場合や、スポーツ・格闘技のパフォーマンスを可能な限り回復させたいときは、手術が選択肢に入ります。
次の項では、肩腱板損傷の手術について、ご紹介します。
■肩腱板損傷の手術
肩腱板損傷の手術では、切れてしまった肩腱板を、もともとくっついていた骨に縫い付ける処置を行います。
①関節鏡下腱板断裂手術
内視鏡を用い、切れてしまった肩腱板を骨に縫い付ける手術です。
内視鏡を用いた手術により、肩の創口を最小限に抑えられます。
関節鏡下腱板断裂手術は、一般的に、よく行われる手術法です。
②直視下腱板断裂手術
肩の三角筋(肩の外側の筋肉:アウターマッスル)を切開し、直接、肩関節内にアクセスする手術です。
三角筋を切開するため、肩の創口が大きくなります。
現在は、内視鏡を用いる関節鏡下腱板断裂手術の普及により、直視下腱板断裂手術はあまり行われなくなっています。
◎手術が必要な場合は、提携の病院をご紹介いたします
肩腱板損傷の手術が必要な方には、提携の病院をご紹介いたします。
【肩の痛みや違和感があるときは、当院までご相談ください】
肩腱板損傷は五十肩などと間違われやすく、放置されがちです。
肩腱板損傷は、腱板の状態によっては、放置しても大きな支障がでないこともあります。
放置しても大きな支障がでないこともありますが、以下のようなケースでは、手術を含め、整形外科での適切な治療・ケアが必要です。
・腱板の断裂が大きく、日常生活やスポーツに大きな支障がでている
瀬戸整形外科クリニックでは、肩腱板損傷の方に対し、上記にてお伝えした各種の治療・ケアを行っています。
肩の痛みや違和感があるときは、当院までご相談ください。
診察では、医師が肩の状態をチェックし、患者様のご同意を得た上で検査を行います。検査後は、肩腱板の状態・症状、および、ご希望に応じ、一人ひとりに合った治療・ケアをご提案させていただきます。