骨粗しょう症の骨折リスクを下げる整形外科の検査と治療の選び方|瀬戸整形外科クリニック|山陽小野田市の整形外科

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骨粗しょう症の骨折リスクを下げる整形外科の検査と治療の選び方

骨粗しょう症の骨折リスクを下げる整形外科の検査と治療の選び方

骨折予防は骨密度と転倒対策の両面から考える


骨粗しょう症で骨が折れるのを防ぐには、骨密度や血液の検査で骨の強さを調べ、薬がいるかどうかと、転ばないための運動をあわせて考えることが基本です。この記事では、整形外科で行う検査のねらいや、家族が骨折したことがあるときの治療の決め方をまとめます。歯医者での治療とのかね合いや、家で続ける運動の工夫もお伝えし、まだ症状がないうちに受診を迷っている方に、考える手がかりをお届けします。


この記事の要点まとめ


  • 骨密度やこれまでの骨折、家族が骨折したことがあるかなどをふまえて、骨の折れやすさを確かめます。
  • DXA法や血液の検査に加え、筋力やバランスの状態も調べます。
  • 薬の種類や歯の治療とのかね合いを医師に相談し、運動や家の中の見直しを続けます。

骨粗しょう症の骨折リスクは何によって高まるのか?


骨折の起こりやすさは、骨の弱さ(骨密度と骨の質)と転びやすさが重なることで高まります。年齢やこれまでの骨折、親が太ももの付け根を骨折したことがあるか、ステロイド薬を使っているか、たばこ、お酒の量などから骨折の起こりやすさを見積もり、そのうえで骨密度を測る進め方もあります。


当院では、骨を鉄筋コンクリートの建物にたとえてご説明しています。カルシウムの密度である「骨密度」が骨の強度の約70%を担い、鉄筋にあたるコラーゲンなどの「骨の質」が残りの30%を占めています。アルコールやたばこは骨が作られるのを妨げ、糖尿病・高血圧・高脂血症といった生活習慣病も骨の質に悪影響を与えるため、骨密度と骨の質の両方に目を向けることが重要です。なお、当院では骨粗しょう症に関する解説動画をYouTubeでも公開しておりますので、あわせて参考にしていただけます。


痛みがないまま進み、段差のつまずきで骨折につながる理由


骨粗しょう症は自覚症状が乏しいまま進行し、わずかな段差でのつまずきや尻もちといった軽い衝撃で、手首や背骨(脊椎圧迫骨折)、太ももの付け根などを骨折することがあります1。このような軽い力で起こる骨折を脆弱性骨折(ぜいじゃくせいこっせつ)と呼びます1。当院でも、ご高齢で骨密度がかなり低くなっている方、特に80歳を超えた方では、カーテンを開けようとして手を伸ばしただけといった日常の何気ない動作で腰の骨(腰椎)を骨折してしまうケースがあるとお伝えしています。


太ももの付け根などを骨折すると、入院したり、歩くときに手助けがいったりして、寝たきりにつながるリスクもあります。寝ている時間が長くなると、入院のあいだに歩く力が落ちることもあります。一度骨折すると次の骨折も起こりやすくなるため、続けて折れるのを防ぐ手立てが大切です。


一方で、骨密度が低くても転倒しなければ骨折することは少ないため、当院では「骨の強さ」だけでなく「転ばないこと」も重視しています。足腰の筋力が保たれていてふらつきにくい方や、自宅に段差や引っかかる物が少なく手すりが設置されている方は、骨折のリスクを抑えやすくなります。


年齢・骨折歴・親の大腿骨の骨折歴を受診前に整理する


治療を始めるかどうかは、骨密度の数値だけで決めるものではありません。閉経後の女性や50歳を過ぎた男性で、50歳以降に太ももの付け根や背骨を軽い力で骨折したことがある場合は、骨密度の結果にかかわらず薬を考えることがあります2。ご自身の過去の骨折だけでなく、親に太ももの付け根の骨折歴があるかどうかも骨折リスクを見極める判断材料です1。


ご家族が骨折して介護が必要になった経緯があれば、ご自身の骨の状態を確かめるきっかけになります。これまで飲んできた薬の記録や生活習慣とあわせて、受診前に整理しておくと診察がスムーズです。受診前のご準備にあたっては、当院のYouTubeで公開している骨粗しょう症の動画もご活用ください。


骨密度の低下と転びやすさは、それぞれ何を調べるのか


骨密度の検査は骨そのものの弱さを調べ、ロコモティブシンドローム(運動器の衰え)のチェックは転びやすさや歩きにくさの背景を確かめるもので、それぞれ目的が異なります。人体は骨や関節が重力に逆らいながら動いているため、骨折を防ぐには骨の強さと体を支える筋肉・関節の両方に目を向ける必要があります。


DXA法(骨密度検査)・レントゲン・血液検査で分かること


整形外科では、DXA法(デキサ法:2種類のX線を使う測定法)によって腰椎(腰の骨)や大腿骨の骨密度を測ります1。レントゲン検査(X線検査)では、痛みがなくても背骨がつぶれている「いつの間にか骨折」がないかを確認します。


あわせて血液の検査を行い、骨の入れかわりを示す骨代謝マーカー(骨がこわされる速さとつくられる速さの目安)や、骨密度が下がるほかの病気がかくれていないかを調べます。院内でできる検査の種類や、結果の説明までの流れは、受診のときに医療機関へご確認ください。


転びやすさは筋肉・関節・バランスの衰えから確かめる


骨粗しょう症の診断とは別の評価として、移動機能の低下を確かめる方法があります。当院では、転びやすさや歩きにくさがある場合、筋肉・骨・関節の問題や、加齢による筋力・バランス能力の低下に着目し、ロコモティブシンドロームのチェックを行います。


健診で骨密度が低いと指摘された患者様ほど、骨の検査だけで終わらせず、日常でのふらつきや脚力の変化もあわせて相談しておくことが転倒対策につながります。


玄関でのつまずきや買い物の負担も受診時に伝える


当院では、日常動作を確認する「ロコチェック」を案内しています。次の項目に1つでも当てはまる場合は、足腰の機能が落ちているサインとして捉えます。


  • 片足立ちで靴下がはけない
  • 家の中でつまずいたり、すべったりする
  • 階段を上るのに手すりが必要である
  • 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが難しい
  • 15分くらい続けて歩けない、または横断歩道を青信号で渡りきれない

このチェックは、薬を始めるかどうかを決めるものではありません。ただ、玄関の段差でつまずいたことや、ご家族の買い物を手伝うときの大変さは、転ばないための相談で医師に伝えたい大事なことです。


薬はどんな場合に検討し、どのくらいの頻度で使うのか?


薬は、骨密度の数値だけでなく、これまでの骨折や家族の骨折歴などをあわせて必要かどうかを決めます。使う間隔は種類によって異なり、飲み薬には毎日・週1回・月1回のもの、注射には毎日や週1回から、月1回、半年に1回のものまであります。症状がないうちに薬を続けることに戸惑う方も多いですが、閉経後の女性では、ビスホスホネート薬や副甲状腺ホルモン薬、ロモソズマブといった薬で、症状の出る骨折が起こりにくくなると報告されています3。


骨密度と骨折歴を合わせて薬の必要性を考える


骨密度が低いと言われただけで、すぐに薬が決まるわけではありません。軽い力での骨折があるか、年齢、親が太ももの付け根を骨折したことがあるかなどをふまえて、始めるかどうかを決めます。閉経後の女性では、これらの治療薬を使うと、有効成分を含まない薬を使った場合より、症状の出る骨折が少なかったと報告されています3。なお、当院では骨粗鬆症についてのYouTube動画( https://www.youtube.com/watch?v=BPrVNhuQtf4 )も公開しておりますので、あわせて参考にしてください。


飲み薬と注射薬は使う間隔と通院の組み立て方が異なる


治療薬には飲み薬と注射薬があり、薬の種類によって使う間隔や通う回数が変わります。たとえば月1回の飲み薬や半年に1回の注射なら、通う回数や飲む手間をおさえやすくなります。仕事や家族の送り迎えと続けやすい方法を選ぶため、使う間隔や起こりうる副作用、治療の期間、効果をみる時期を主治医に確かめてください。薬の選択肢などについても、当院の骨粗鬆症YouTube動画( https://www.youtube.com/watch?v=BPrVNhuQtf4 )をご参照ください。


歯科治療中の方が薬を始める前に伝えておきたいこと


一部の骨粗しょう症治療薬では、抜歯などの歯科処置と重なると顎の骨のトラブルが起きることがあります4。歯科治療中または処置の予定がある患者様は、薬を始める前に整形外科医へ伝え、歯科医にも服薬の予定を共有してください。自己判断で受診を遅らせず、両方の医師と連携して開始や継続の時期を決めていきます。


ポイント

薬を始める時期や種類は、骨密度やこれまでの骨折、歯の治療の予定を医師に伝え、暮らしのリズムに合わせて選びます。


転倒予防の運動は、教わったあとどう続ければよいのか?

転倒予防の運動は、教わったあとどう続ければよいのか?

転倒予防の運動は、家の中で転びにくい場所を決め、日々の記録と定期的な数値評価で振り返ることで続けやすくなります。骨を強くする薬物治療やカルシウム・ビタミンDなどの栄養摂取とあわせて、体を支える筋力とバランスを保つ取り組みが骨折予防を支えます。


自宅での運動は、取り組む場所も含めて相談する


運動は全員に同じメニューを当てはめるのではなく、お仕事の疲労やご家族の介護・支援といった生活状況に合わせて調整します。当院では、自宅で行うトレーニングについて、つかまるものがある場所やイス・ソファの前で行うなど、実施場所についても具体的に指導しています。


たとえば片足立ちなら机や壁の近く、スクワットなら椅子の前というように場所を決めておくと、運動中の転倒を防ぎやすくなります。あわせて玄関の段差や足元の片付けなど、つまずきやすい環境も見直しておきましょう。


自主トレーニングは日誌と約1か月ごとの数値評価で振り返る


運動は一度教わっただけでは習慣にしづらいため、経過を確かめる仕組みが役立ちます。当院では、ロコモティブシンドロームへのプログラムとして、理学療法士が自主トレーニングを指導し、日誌もつけていただきます。そのうえで、下肢筋力(太ももの前の筋肉である大腿四頭筋の力)や片足立ちの時間を約1か月ごとに数値で追う取り組みを行っています。


日誌に日々の実施状況を書き留め、数値の変化を確認することで、運動内容の見直しや続ける励みにつながり、寝たきりにならないための体づくりを進められます。なお、この約1か月ごとの評価は、骨密度検査や薬の処方で通院する間隔とは別のものです。


受診前にまとめておきたい健診結果・服薬・歯科治療の情報


整形外科へ相談するときは、健診での骨密度の結果、ご本人と親の骨折歴、お薬手帳、歯の治療の状況をメモにしておきましょう。最近のつまずきや、買い物で困っていることも書いて持っていくと、話を進めやすくなります。


検査や薬、リハビリにかかるお金や、お仕事・ご家族の送り迎えに合わせた通い方は、受診のときに医療機関に聞いてみてください。気になる変化があれば、まずは一度ご相談ください。


よくある質問


Q. 骨粗しょう症の治療に使われる注射にはどのような種類がありますか?


A. 骨がこわれるのを抑える注射や、新しい骨がつくられるのを助ける注射(副甲状腺ホルモン薬や抗スクレロスチン抗体薬など)があります。自分で打つものと医療機関で打つものがあり、薬によって使う間隔やはたらきが異なります。どの注射が合うかは、骨密度や骨折歴、起こりうる副作用、通いやすさをふまえて医師と相談して選びます。


Q. 整形外科のリハビリや運動指導は週に何回くらい通うのが目安ですか?


A. 通う回数は、痛みがあるか、足腰の状態、家で続けられる運動の量、仕事や介護などの都合によって、一人ひとり違います。はじめは正しい姿勢や体に負担をかけすぎない運動のやり方を確かめるために通い、家での自主トレーニングが身についてきたら、間をあけて様子をみる形に変えることもあります。回数は医師や理学療法士と相談して決めていきます。


Q. 骨粗しょう症と診断された人のうち、治療を受けている割合はどのくらいですか?


A. 治療を受けている人の割合は、調べ方や対象によって数字が変わるため、ここでははっきりした数値をお示しできません。骨粗しょう症は痛みなどの自覚症状がないまま進むことが多く、健診で指摘されても受診や治療につながらないことがあります。治療が必要かどうかはご自身の骨密度や骨折の起こりやすさによって変わるため、健診結果をお持ちの段階で一度整形外科で状態を確かめておくとよいでしょう。


参考文献


1. Kahwati LC, Kistler CE, Booth G et al. Screening for Osteoporosis to Prevent Fractures: A Systematic Evidence Review for the US Preventive Services Task Force. JAMA. 2025. PMID: 39808441 / DOI: 10.1001/jama.2024.21653

2. 骨粗鬆症の薬物治療update ―骨粗鬆症外来をご活用下さい― | 国立長寿医療研究センター. https://www.ncgg.go.jp/hospital/iryokankei/letter/036.html

3. Händel MN, Cardoso I, von Bülow C et al. Fracture risk reduction and safety by osteoporosis treatment compared with placebo or active comparator in postmenopausal women: systematic review, network meta-analysis, and meta-regression analysis of randomised clinical trials. BMJ (Clinical research ed.). 2023. PMID: 37130601 / DOI: 10.1136/bmj-2021-068033

4. 医薬品・医療機器等安全性情報 No.231 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構. https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/calling-attention/safety-info/0062.html


瀬戸 信一朗

医師


瀬戸整形外科クリニック

院長

瀬戸 信一朗

▶ 監修者プロフィール

経歴
2004年
山口大学医学部 卒業
山口大学医学部付属病院 卒後臨床研修
2005年
山口労災病院
2006年
山口大学医学部付属病院整形外科学講座へ入局
2007年
山口県立総合医療センター レジデント
2009年
周東総合病院
2012年
山口大学医学部 臨床助教
2014年
山口県立総合医療センター 整形外科 部長
2017年
瀬戸病院 副院長
2020年
瀬戸整形外科クリニック 院長
2022年
山陽小野田医師会 理事
資格・所属学会
日本整形外科学会 整形外科専門医
日本整形外科学会 認定リウマチ医
日本リハビリテーション学会 リハビリテーション専門医
日本手外科学会 手外科専門医
日本プライマリ・ケア学会 認定医・指導医
国際マッケンジー協会認定セラピスト
日本スポーツ協会 スポーツドクター