交通事故でむち打ちになったときに現れることがある、バレ・リュー症候群。
バレ・リュー症候群の方は、頭痛・吐き気・耳鳴りなどの症状が出るケースが少なくありません。
今回は、交通事故でのむち打ちに伴う異常・不調の一種「バレ・リュー症候群」の原因・症状について、ご説明します。
目次
■バレ・リュー症候群とは?
◎自律神経にダメージを受けた重度のむち打ちです
バレ・リュー症候群とは、交通事故などの強い衝撃により、自律神経にダメージを受けた重度のむち打ちです。
{自律神経とは}
呼吸・体温・睡眠・排せつなど、人間が生きていく上で欠かせない身体の機能を調節する(活発にする・鎮める)重要な神経。
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交換神経(活発にする神経:自動車で例えるならアクセルの役割)
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副交感神経(鎮める神経:自動車で例えるならブレーキの役割)
の、2種類の神経で自律神経が構成されています。
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1920年代にフランス人の医師、バレとリューの2人によって報告されたため、バレ・リュー症候群と名付けられました。
■バレ・リュー症候群の原因
◎交通事故などの強い衝撃により、交感神経が刺激を受けて自律神経にダメージが及ぶことが原因と考えられています
バレ・リュー症候群でなぜ、頭痛・吐き気・耳鳴りなどの症状が現れるのかについては、明確な発症のメカニズムはわかっていません。
発症のメカニズムはわかっていませんが、「交通事故などの強い衝撃により、交感神経が刺激を受けることでバレ・リュー症候群を発症するのではないか」と考えられています。
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強い衝撃を受けた交感神経(心拍数や血圧を上げるなど、活動モードの自律神経)が内耳の血流を低下させる
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内耳の血流の低下によって自律神経が異常・不調をきたす
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自律神経の異常・不調により、頭痛・吐き気・耳鳴りなどの症状が現れる
現時点での推論になりますが、上記のような現象が、バレ・リュー症候群の発症に関係するメカニズムの一つとして挙げられています。
■バレ・リュー症候群の主な症状
◎自律神経がダメージを受け、頭痛・吐き気・耳鳴りなどの症状が現れることがあります
バレ・リュー症候群では、自律神経へのダメージに伴い、以下のような症状が現れることがあります。
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頭部の症状
頭痛、頭が重い感覚がある(頭重感)、後頭部に違和感がある
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首の症状
むち打ちに伴う首の痛み・首のこわばり、首に違和感がある
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顔面の症状
顔面に違和感がある
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内耳の症状
耳鳴り、めまい、耳の詰まり(耳閉感)
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目の症状
目の疲れ(眼精疲労)、眼精疲労による視力の低下、かすみ目
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心臓の症状
心臓の痛み、脈の乱れ、息苦しい(呼吸しにくい)、動悸(どうき:心臓がドキドキする)
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のどの症状
のどの違和感、声のかすれ、飲み込みにくい
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その他、全身の症状
上肢(じょうし:肩から指先まで)がだるい・しびれる、全身がだるい、注意力が散漫になる
■バレ・リュー症候群とストレスの関係
◎日常的にストレスを感じている方は、バレ・リュー症候群を発症しやすくなる可能性があります
バレ・リュー症候群とは、交通事故などで強い衝撃を受け、自律神経がダメージを受けた重度のむち打ちです。
強い衝撃が発症の直接の原因ですが、自律神経の異常・不調の一種のため、バレ・リュー症候群はストレスとも深く関係しています。
世界でも有数(良くない意味で)のストレス社会とされる、日本。
仕事・生活・人生に対する不満、睡眠不足、慢性的な疲れなど、日本では、日常的にストレスを感じている方が少なくありません。
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交通事故後
または
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交通事故に遭う前
から日常的にストレスを感じている方は、事故+ストレスの悪い相乗効果によってバレ・リュー症候群を発症しやすくなる可能性があります。
【交通事故の後、頭痛・耳鳴りなどの症状が続いている場合はご相談ください】
バレ・リュー症候群は症状が慢性化するケースも珍しくありません。
症状が慢性化すると日常生活に支障をきたし、ストレスを感じてさらにバレ・リュー症候群が悪化するおそれも。
バレ・リュー症候群を含め、交通事故に遭った後は、整形外科をはじめとする医療機関で適切な治療・リハビリを受けることが重要です。
交通事故の後、頭痛・耳鳴りなど、気になる症状が続いている場合は当院までご相談ください。
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今回は、交通事故の後のむち打ちに伴って発症することがある自律神経の異常・不調「バレ・リュー症候群」の原因・症状のお話をさせていただきました。
来月のブログでは、整形外科で行う、バレ・リュー症候群の治療について、ご説明します。