「膝が痛くてまともに歩けない…」
「膝を曲げ伸ばしすると膝が痛む…」
「スポーツ・格闘技で膝を痛めて以来、慢性的な膝の痛みが続いている…」
加齢による膝の痛み、スポーツ時の外傷・障害による膝の痛み、膝に水が溜まるなど、慢性的な膝の痛みや膝の症状でお悩みの方は少なくありません。
膝の痛み・膝の症状がある場合は膝の状態や疾患の種類に合わせ、それぞれの患者様に適した治療を行うことで膝の痛みの緩和、および、膝の状態改善につながります。
今回は、慢性的な膝の痛みや膝の症状をひき起こす可能性がある9つの疾患についてご説明します。
目次
■慢性的な膝の痛みや膝の症状をひき起こす可能性がある9つの疾患
1.変形性膝関節症
変形性膝関節症とは、膝の軟骨がすり減ることで膝に痛みを感じる疾患です。
[症状]
立ち上がる・しゃがむときに膝が痛む、階段の上り下りで膝が痛む、膝をまっすぐ伸ばせない、膝関節の変形
[原因]
・加齢による軟骨の老化
(加齢に伴って軟骨の水分量が減り、軟骨が薄くなる=軟骨がすり減る)
・肥満
・遺伝
[治療方法]
・痛み止め(飲み薬)の処方
・湿布
・装具療法(サポーター)
・注射(ヒアルロン酸・ジョイクル)
・物理療法
2.膝半月板損傷
膝半月板損傷(ひざはんげつばんそんしょう)とは、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)のあいだにある膝の半月板が何らかの原因で損傷(裂ける・割れる)する疾患です。
[症状]
膝の曲げ伸ばしをしたときに膝が痛む・ひっかかる
[原因]
・重い物を持つ
(スポーツや格闘技、仕事など)
・膝で地面を強く蹴る動作を繰り返す
(スポーツや格闘技など)
・加齢による半月板の老化
(加齢に伴って半月板の水分量が減り、半月板が薄くなる=半月板がすり減る)
[治療方法]
・痛み止め(飲み薬)の処方
・装具療法(サポーター)
・物理療法
3.偽痛風
偽痛風(ぎつうふう)とは、突発的な膝の痛みを感じたり、膝に水が溜まる疾患です。突発的な痛みを感じやすいことから、偽の痛風という名前がつけられました。
痛風が尿酸結晶によって痛みが生じるのに対し、偽痛風はピロリン酸結晶により膝の痛みがひき起こされます。
[症状]
突発的(急激)に膝が痛む、膝に水が溜まる(膝の水を抜いて調べ、ピロリン酸が含まれる場合は偽痛風の可能性が高いです)
[原因]
・加齢
・副甲状腺機能亢進症
[治療方法]
・痛み止め(飲み薬)の処方
・装具療法(サポーター)
・関節液穿刺吸引(膝の水抜き)
4.ランナー膝(腸脛靭帯炎)
ランナー膝(腸脛靭帯炎:ちょうけいじんたいえん)とは、ランニングなどで膝を使い過ぎてしまい、膝関節の外側を通る腸脛靭帯に炎症が起きる疾患です。
ランナー膝についてはこちらの記事にて詳しくご説明しています。併せてご参照ください。
[症状]
膝の曲げ伸ばしをしたときに膝が痛む、膝の外側が痛む
[原因]
・膝の使い過ぎ
(スポーツや格闘技などによる膝のオーバーユース)
[治療方法]
・痛み止め(飲み薬)の処方
・湿布
・物理療法
・再生医療(PRP、PRP-FDなど)
5.ベーカー嚢胞(膝窩嚢胞)
ベーカー嚢胞(のうほう)とは、膝の裏にある滑液包という部分に炎症が起き、膝の裏が腫れる(膨らむ)疾患です。
[症状]
正座や膝の曲げ伸ばしをしたときに膝が痛む、膝の裏が腫れる(ゴルフボール大の腫れが生じることも)、膝に水が溜まる
[原因]
・変形性膝関節症
・膝の使い過ぎ
(スポーツや格闘技、立ち仕事などによる膝のオーバーユース)
・関節リウマチ
・体重増加による膝への負担増
・加齢
・痛風
[治療方法]
・痛み止め(飲み薬)の処方
・関節液穿刺吸引(膝の水抜き)
・注射(コルチコステロイド)
6.膝離断性骨軟骨炎
膝離断性骨軟骨炎(ひざりだんせいこつなんこつえん)とは、何らかの原因によって膝の軟骨の一部がはがれてしまう疾患です。
[症状]
運動や膝の曲げ伸ばしをしたときに膝が痛む、寝ているときなど安静時に膝が痛む(膝を動かしていないときにも膝が痛む)
[原因]
・膝の使い過ぎ
(スポーツや格闘技、仕事などによる膝のオーバーユース)
[治療方法]
・痛み止め(飲み薬)の処方
・装具療法(サポーター)
7.有痛性分離膝蓋骨
有痛性分離膝蓋骨(ゆうつうせいぶんりしつがいこつ)とは、遺伝(生まれつき)や膝関節の成長異常により膝の膝蓋骨(膝のお皿)が2つに分かれており、2つに分かれた膝の膝蓋骨に負荷がかかることで膝に痛みが起きる疾患です。
膝のお皿が2つに分かれていることを分離膝蓋骨と呼びます。分離膝蓋骨のすべてで膝が痛む訳ではなく、スポーツなどの何らかの原因によって負荷がかかることで分離膝蓋骨に痛みが生じる疾患を有痛性分離膝蓋骨と呼び、単なる分離膝蓋骨と区別しています。
[症状]
膝の曲げ伸ばしをしたときに膝が痛む、膝の外側の上部を押したときに膝が痛む
[原因]
・膝の使い過ぎ
(スポーツや格闘技などによる膝のオーバーユース)
[治療方法]
・痛み止め(飲み薬)の処方
・湿布
・物理療法
8.タナ障害(滑膜ひだ障害)
タナ障害とは、膝の内側にある滑膜のひだに炎症が起きる疾患です。
[症状]
膝の曲げ伸ばしをしたときに膝が痛む・ひっかかる
[原因]
・膝の使い過ぎ
(スポーツや格闘技などによる膝のオーバーユース)
[治療方法]
・痛み止め(飲み薬)の処方
・湿布
・物理療法
9.膝靭帯損傷
膝靭帯損傷とは、膝の靭帯が損傷する疾患です。
膝の中には前十字靭帯、後十字靭帯、膝関節外側側副靭帯、膝関節内側側副靭帯の4つの靭帯が通っています。このうちのいずれか、または、複数の靭帯が損傷することを膝靭帯損傷と呼びます。
[症状]
膝靭帯を損傷した直後の激しい膝の痛み、膝がグラグラする(まともに立てないことも)、慢性的な膝の痛み、膝の中に水が溜まる
[原因]
・膝関節への衝撃
(スポーツや格闘技、事故などが原因の膝関節への強い衝撃)
[治療方法]
・痛み止め(飲み薬)の処方
・湿布
・装具療法(サポーター)
【膝に痛みや違和感があるときは当院までご相談ください】
慢性的な膝の痛みがある方は「年だから仕方がない」「スポーツ・格闘技で膝を使っている(使っていた)から膝が痛むのは当然」と、治療を受けずに放置してしまうことが少なくありません。しかし、膝の痛みを放置するのはNGです。
膝に痛みがあると膝をかばうために変な姿勢・歩き方(走り方)になってしまい、骨盤のゆがみによる腰痛、筋肉バランスの乱れによる背中の痛みなど、全身に悪影響が生じる可能性があります。膝の痛みの放置によって疾患が悪化し、再生療法や手術が必要になるケースも(※)
(※)再生医療、手術が必要な場合は提携の病院をご紹介いたします。
膝に痛みや違和感があるときは当院までご相談ください。医師が診査を行い、原因・症状に合わせて適切な治療方法をご提案いたします。