五十肩(肩関節周囲炎)は自然に治る?|瀬戸整形外科クリニック|山陽小野田市の整形外科

Instagram

〒756-0811 山口県山陽小野田市稲荷町11-20

トピックス TOPICS

五十肩(肩関節周囲炎)は自然に治る?


当院に肩の痛みで訪れる患者様の中でも特に多いのが五十肩です。


五十肩は肩の痛みや違和感が比較的軽い方から、痛みで肩を動かせない方まで、症状もさまざま。五十肩を治すには、それぞれの患者様に合った適切な治療を行うことが大切です。


今回は、ご相談の多い「五十肩(肩関節周囲炎)」についてご説明します。


■五十肩とは


◎40代・50代以降の方に多い肩の疾患

五十肩(ごじゅうかた)は40代・50代以降の方に多く見られる肩の疾患です。正式には「肩関節周囲炎」と呼びます。


40代で症状が起きた場合は四十肩と呼ぶこともあります。


■五十肩の症状


◎肩が痛い、腕が挙げられなくなる、などの症状が代表的です

五十肩になると、以下のような症状が現れることがあります。


<五十肩の主な症状>


・肩が痛い

・腕を挙げられない

・腕を外側に開くと痛い(胸を開く動作)

・背中に腕を回せない

・就寝中に肩が痛む


◎痛みが続く期間は数ヶ月程度~、5年以上続く場合も

五十肩の痛みは数ヶ月程度で治まるものもあれば、5年以上肩の痛みが続く場合もあります。五十肩の痛みがすぐに治まるケースはあまりなく、最低でも数ヶ月間は肩の痛みが続くことが多いです。


■五十肩の原因


◎何らかの原因により、肩関節の中にある関節包に炎症が起きることで発症します

加齢による関節組織の水分量の低下など、何らかの原因により、肩関節の中にある関節包という袋に炎症が起きることで五十肩を発症します。


五十肩になると多くのケースで肩関節の関節包が硬くなり、肩の可動範囲が極端に狭くなっていきます。五十肩で腕を挙げると痛い・腕を挙げられないのはこのためです。


◎五十肩の明確な原因ははっきりとはわかっていません

五十肩になると、肩の関節包の炎症により痛みがひき起こされます。ただし、肩の関節包に炎症を起こす明確な原因についてははっきりとはわかっていません。現時点では、加齢による肩関節の組織の水分量の低下(滑らかさが失われていく)などが原因と考えられています。


■五十肩は自然に治る?治らない?


◎自然に治る場合もあります

五十肩は自然に治る場合もあります。以下のような「ふだんしない動きをした」ことが原因で肩を痛めたときは安静にすることで五十肩が自然に治るケースがあります。


{自然に治る場合がある五十肩}


・ふだんあまりしない動き(電球を取り換えるなど)で肩を痛めた

・ゴルフやテニス、運動会などで久しぶりに肩や上腕の筋肉を使って肩を痛めた


◎肩の強い痛みが続いている場合は自然に治らないことが多いです

五十肩で肩の強い痛みが続いている場合は自然に治らないことが多いです。腕や肩を動かさなくても肩が強く痛む、肩が痛くて寝られない、などの症状があるケースは自然に治ることはほぼありません。


■五十肩の治療方法


五十肩は症状や進行状態に合わせ、適切に治療を進めていきます。


①処方(鎮痛剤、湿布)


鎮痛剤の内服や湿布により痛みを鎮めます。


②注射(関節内、ハイドロリリース)


{関節内注射}


肩関節の中にステロイドやヒアルロン酸を注射し、関節包の動きを滑らかにして痛みを抑えます。


{ハイドロリリース注射}


薄い局所麻酔薬を含んだ生理食塩水を肩関節の末梢神経の周辺に注射する方法です。注射した水分が末梢神経を剥離することにより、痛みの緩和や筋力・可動域の改善効果が期待できます。


③運動器リハビリ(可動域訓練、レッドコード)


医師が監修し、理学療法士がメニューを組んでリハビリを行います。五十肩で行うリハビリの代表的なものにはレッドコードによる可動域訓練があります。


レッドコードによる可動域訓練とは、天井から垂らしたロープで腕を支え、痛みが少ない状態で行う関節・筋肉のストレッチ、および、トレーニングです。可動域訓練によって肩の可動域を広げるとともに、肩関節周辺の筋肉トレーニングで筋力を強化することで痛みの軽減を目指します。


④サイレントマニュピレーション


サイレントマニュピレーションとは鎖骨部に麻酔を注射して肩の痛みを感じない状態で医師が患者様の肩や腕を動かすことで可動域を改善し、痛みの緩和を図る治療法です。


五十肩の中でも「凍結肩(とうけつがた、英語では「フローズンショルダー」)」と呼ばれる、拘縮期で肩がほとんど動かせなくなっているケースではサイレントマニュピレーションを行うことがあります。


当院で行っているサイレントマニュピレーションについてはこちらの記事で詳しくご説明しています。併せてご参照ください。


⑤物理療法


マイクロ波や低周波を出す機器を用いて物理療法を行い、痛みの緩和、および、肩関節・筋肉の緊張緩和を図ります。


⑥手術


肩の痛みや肩関節の可動域の制限が続いており、日常生活に支障が出ている場合は手術を検討します。


五十肩の手術には関節鏡視下関節授動術(関節包切離術)などがあります(※)。


(※)手術が必要な場合は提携の病院をご紹介いたします。


【肩に痛みや違和感がある場合はご相談ください】


肩はデリケートな関節です。複雑な作りをしているため、ちょっとした動きでも肩関節に負担がかかり、ケガや痛みが発生することがあります。


40代・50代以降の方に多い五十肩。


五十肩は自然に痛みがなくなる場合もあります。ただし、痛みがなくなっても肩の動きに制限が残るなど、放置によって五十肩の症状が完治するケースは少ないです。


「そのうち、自然に治るから」と自己判断で肩の痛みを放置していると、症状が悪化する可能性があります。


五十肩のほかにも、腱板断裂(ローテーターカフの損傷)や肩関節の腱板に石灰が沈着して癒着する石灰沈着性腱板炎など、肩の痛みをひきおこす疾患はさまざまな種類があります。これらの肩の疾患は自然に治ることはほぼなく、手術を含む治療が必要になることが多いです。


肩に痛みや違和感がある場合は当院までご相談ください。医師による検査を行い、それぞれの患者様に適した治療方法をご提案させていただきます。


瀬戸整形外科クリニック
医師
⇒院長の経歴はこちら