「福祉用具ってご存じですか?」|瀬戸整形外科クリニック|山陽小野田市の整形外科

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「福祉用具ってご存じですか?」

  『福祉用具ってご存じですか?』  

     今回ブログを担当します、作業療法士の徳永と申します。瀬戸整形外科クリニックでは訪問リハビリを担当しています。
訪問リハビリを始めてから…というよりも作業療法士になってから数十年、我々リハビリ職とは切っても切り離されないのが、『住宅改修・家屋調査』です。以前入院施設があった際は、退院前にご自宅に訪問し安全・安楽な生活が過ごせるよう、福祉用具の選定や住宅改修箇所の確認などを行っておりました。現在は訪問リハビリで伺っているご自宅で、必要な福祉用具の選定や住宅改修への助言などを行っております。
 今回は医療・介護従事者が当たり前のように使っている『福祉用具』について、簡単ではありますがお話が出来たらと思います。

《福祉用具ってナニ?》
 もし、あなたやあなたのご家族が足腰に何らかの障害があったとします。家で生活するのに、車いすや手押し車があれば移動が楽に行えるかもしれません。起き上がりのしやすいベッドがあれば一人で起き上がることが出来たり、介助する方が楽に支援できるかもしれません。このようにご自身やご家族が安心で安全な生活が送れるように、また介護負担が軽減されるために利用する用具のことを言います。
 しかし、誰でも福祉用具を利用できるわけではありません。基本的には介護保険の認定が下りている要支援・要介護認定者に限ります。この福祉用具の利用は購入もできますが、福祉用具業者からレンタルが可能になります。レンタル利用に関して、介護保険が適応されるため、所得に応じて1~3割の自己負担でレンタルが可能になります。例えば、月額5,000円の車いすをレンタルする場合、1割負担の方では月額500円、2割負担の方では月額1,000円で利用ができるということです。ただし、なんでもレンタルが出来るわけではなく、介護認定者の方が特に必要とされるだろう13種目に限られています。

《利用できる13種目って? どれでもレンタルできるの?》
 先ほど述べた通りレンタル可能な用具は全部で13種目です。しかし、要支援1・2及び要介護1の認定の方はレンタルできない物もあります。以下に対象となる品目を上げていきたいと思います。

【要介護2~5の方が対象】
①車いす:自走用・介助用・電動車いす・セニアカー

②車いす付属品:車いす用クッション姿勢保持用品
③特殊寝台(介護用ベッド):ベッド柵のつけられるもので、背上げ足上げ機能のつ
いたもの
④特殊寝台付属品:マットレス・L字型の手すり・ベッド上で食事ができるテーブル
⑤床ずれ防止用具:エアマットレス・ウォーターマットレス
⑥体位交換器:起き上がり補助装置・体位交換が容易       にできる機能があるもの
⑦認知症老人徘徊感知システム:外出通報システム・離床センサ―
⑧移動用リフト:工事不要の移動用リフト・バスリフト 
  ➡レンタルは本体のみ。体に触れるものは保険購入

【要支援1・2、要介護1~5の方が対象】
⑨手すり:工事不要で任意の場所において使えるもの
⑩スロープ:段差解消のため工事不要で設置・撤去ができるもの
⑪歩行器:歩行を補う機能と移動時に体重を支えることのできる固定型の歩行器や歩行車
  ➡シルバーカーは手を添えて歩く為、対象外
⑫歩行補助杖:サイドウォーカー・松葉杖・多点杖・ロフストランド杖(腕で支える杖)
  ➡1本杖(T時杖)は対象外
⑬自動排尿処理装置:ベッドに寝たまま排泄処理ができる装置
  ➡レンタルは本体のみ。チューブや体に触れるものは保険購入対象
   ※尿のみ吸引するタイプ:要支援1・2、要介護1~5
   ※尿と便を吸引するタイプ:要介護4・5のみ

 よく、「借りるのは面倒だから、買った方がいい」といわれる方がいらっしゃいますが、私はまずはレンタル利用をお勧めしています。例えば、押し車を購入したとします。「ちょっと使い勝手が悪いな」「ブレーキの調子が悪いな」と思った際、レンタルであれば違うものと交換ができます。しかし購入してしまうと、もちろん交換は出来ず、修理費もご自身で支払わないといけません。そのため、まずはレンタル利用をお願いしています。

《実際の福祉用具の紹介》
最後に、私が訪問リハビリに伺っている皆様のご自宅で実際にレンタルされている福祉用具を紹介させていただきます。利用者の皆様、写真をご提供いただき、ありがとうございました!

←玄関ポーチの階段に据え置き式の手すりを設置しています。

スライディングボードと車いす。→
座った状態でお尻の下に黒い板を差し込み、立つことなく車いすに滑り移る物になります。

←上がり框の高さ解消をするための据え置き式の手すりと、踏み台です。

廊下と部屋との敷居の段差を解消するためのミニスロープ。→

←床と天井とでツッパリ棒のように支える手すりです。壁に手すりの造設が出来ない場合や壁のない箇所での手すり設置が可能になります。
便座の横の手すりは、据え置き式のトイレ用の手すりになります。

「元々使っているベッドに手すりがあれば…」という方には、据え置き式の手すりの設置がお勧めです。→

ここで紹介したものは、本当にごく一部です。レンタル商品はたくさんあるので、私も福祉用具業者の方に相談しながら選定しています。商品貸与は都道府県の指定を受けている福祉用具貸与業者のみです。もし、ご自身やご家族で福祉用具のレンタルを希望される場合は、福祉用具事業所に行く前にまずはケアマネージャーの方に相談が必要です。また、身体の状態や家の環境など、困ったことがあれば、いつでも我々リハビリ職員へご相談くださいね。