“人生100年”と言われる日本において、45~55歳頃の更年期(こうねんき)はちょうど人生の半分あたりの年齢です。
更年期は、体調不良や身体の痛みが起こりやすい時期。
個人差はありますが、更年期になると、以下のような手首・手の症状が現れやすくなります。
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手首の痛み
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手のこわばり
目次
■更年期に手首・手の症状が現れやすくなるのはなぜ?
◎様々な要因により、手首の痛み・手のこわばりなどの症状が現れやすくなります
更年期になると、主に以下のような要因(因子)により、手首・手の症状が現れやすくなります。
[更年期に手首・手の症状が現れやすくなる主な要因]
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ホルモンバランスの変化による手首・手の関節・腱のむくみ
女性ホルモン(エストロゲン)の減少など
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加齢による手首・手の関節・筋肉・腱の衰え
身体の組織の水分量の減少:組織そのものが硬くなる、組織の柔軟性が失われるなど
水分量の減少や組織の変性に伴う、手首・手の関節・筋肉・腱の形状の変化など
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長い年月をかけ、手首・手に蓄積したダメージ
スポーツや仕事で手首・手を使い過ぎたなど
■手首の痛み・手のこわばりが起きることがある代表的な病気
◎更年期に生じた病気が原因で、手首・手の症状が現れることがあります
上記でご紹介した要因に伴い(または、上記の要因の有無に関わらず)、更年期になると以下のような病気を発症することがあります(※)。
以下の病気は、いずれも、手首の痛み・手のこわばりなどの症状が現れやすくなる点が特徴です。
(※)以下の病気は更年期特有のものではありません。
年齢に関わらず、以下の病気を発症する可能性があります。
1.自律神経失調症
自律神経失調症とは、主にストレスなどが原因で自律神経(呼吸・血行・体温・排せつなどを調節する重要な神経)に不調をきたす病気です。
“ストレス社会”と言われる日本においては、若い方からご高齢の方まで、年齢に関わらず、自律神経失調症を発症するケースが多く見られます。
年齢に関わらず発症リスクが存在しますが、
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加齢による身体機能の衰え
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精神面の不調(ミッドライフクライシス(中年の危機)など)
上記のような要因により、更年期は自律神経失調症が起きやすいです。
自律神経失調症になると、手首周りの筋肉の緊張や血行不良が原因で手首の痛み・手のこわばりなどの症状が現れることがあります。
2.関節リウマチ
関節リウマチとは、免疫細胞の機能の異常などの原因により、関節が炎症を起こす病気です。重度の関節リウマチでは、炎症が進行して関節そのものが変形する場合もあります。
関節リウマチになると、手首の痛み・手の震え・手のこわばりなど、手首・手の症状が現れやすくなります。手首・手の症状のほか、熱っぽい・だるい・食欲がないなどの全身性の症状が現れやすくなる点も関節リウマチの特徴です。
関節リウマチの症状・原因・治療方法についてはこちら。
3.キーンベック病
キーンベック病とは、何らかの原因により、手の甲の付け根(手首側)の月状骨(げつじょうこつ)への血行がさまたげられ、月状骨がつぶれたり壊死することがある病気です。
キーンベック病の発症原因については、はっきりとは解明されていません。手首・手の使い過ぎやステロイドの長期服用などがキーンベック病の発症原因と考えられています。
キーンベック病になると、月状骨の変形・壊死に伴い、手首に強い痛みを感じることが多いです。
4.手根管症候群
手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)とは、主に手の使い過ぎが原因で、手首から手指に向かって走る末梢神経が障害を受ける病気です。
手根管症候群になると、親指、人差し指、中指、薬指の半分(親指側の縦半分)が慢性的にしびれやすくなります。
手根管症候群の症状・原因・治療方法についてはこちら。
5.ばね指、ドケルバン病
ばね指とは、主に指の使い過ぎが原因で指の腱に炎症が起き、指の動きが悪くなる病気です。
ばね指になると、以下のような指の症状が現れやすくなります。
[ばね指で見られる主な症状]
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指の関節が腫れる
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指を曲げ伸ばすと、指がカクカクする
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指を曲げ伸ばしたときや指の付け根を押さえたときに指が痛む
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親指が曲がらない
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ばね指(指の腱の炎症)に似た病気として、
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手首の親指側の腱や腱消(けんしょう:腱の周りを覆う鞘状の組織)が炎症を起こし、
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手首の腫れ・親指の痛みを感じやすくなる
ことをドケルバン(ド・ケルバン)病と呼びます。
ばね指の症状・原因・治療方法についてはこちら。
6.母指CM関節症
母指CM関節症(ぼししーえむかんせつしょう)とは、
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加齢
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手指の使い過ぎ
などの原因により、親指の付け根と手首のあいだにある母指(=親指)CMという関節部分の軟骨がすり減る(軟骨が変形する)病気です。
母指CM関節症になると、親指の腫れ・親指の痛み・親指を動かしにくいなどの症状が現れやすくなります。
7.ヘバーデン結節、ブシャール結節
ヘバーデン結節とは、遺伝・加齢・手指の使い過ぎなどが原因で指の第一関節が腫れたり、指の痛みを伴う病気です。
ヘバーデン結節のほか、指の第二関節に腫れ・痛みが現れる病気をブシャール結節と呼びます。
【手首の痛み・手のこわばりなど、手首・手の症状でお困りの方はお気軽にご相談ください】
今回ご紹介したように、更年期には1~7のような病気が原因で手首・手の症状が現れやすくなります。
1~7のような病気のほか、ホルモンバランスの乱れや加齢(=特定の病気ではない様々な要因(因子))に伴い、手首・手の症状が現れるケースも。
手首・手の動きは日々の生活に大きく関係する要素です。手首・手の不調が慢性化すると、生活の質(Quality of Life:QOL)が低下しやすくなります。慢性化した手首・手の不調により、精神面が不安定になるなど、更年期障害がさらに悪化するケースも少なくありません。
~ 手首・手の症状を緩和し、症状の慢性化を防ぐために ~
瀬戸整形外科クリニックでは、手首・手の症状に対する治療・リハビリを行っています。
手首の痛み・手の震え・手のこわばりなど、手首・手の症状でお困りの方はお気軽にご相談ください。
[瀬戸整形外科クリニックの診療メニュー]
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装具(サポーター)の装着
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薬剤(湿布、痛み止めなど)の処方
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注射(ステロイド注射など)
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リハビリ(運動療法・物理療法)
患者様の手首・手の症状に応じて、適切な治療方法・リハビリをご提案させていただきます。
(※)大きな手術が必要な場合は提携の病院をご紹介いたします。