【スポーツ障害】ランナー膝|瀬戸整形外科クリニック|山陽小野田市の整形外科

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【スポーツ障害】ランナー膝



膝の代表的なスポーツ障害の一つに、ランナー膝があります。近年はランニングブームにともない、ランナー膝を発症する方が増えています。


ランナー膝とは、ランニングのし過ぎにより膝の外側が痛む疾患です。正式には「腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)」と呼びます。膝の痛みのほか、重度のランナー膝になると膝の靭帯や腱が断裂することもあります。


今回は「ランナー膝」および「ランニングで起きやすい膝のスポーツ障害」についてご説明します。


■ランナー膝の原因


◎ランニングのし過ぎで腸脛靭帯が炎症を起こし、発症します

ランナー膝の主な発症原因はランニングのし過ぎ(オーバーユース)です。


スポーツなどでランニングをし過ぎると膝の外側にある腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)が太ももの先端部分の骨(膝側の先端部分の骨)と接触してこすれ合ってしまい、腸脛靭帯が炎症を起こしてランナー膝を発症することがあります。


◎マラソンなどの陸上競技のほか、サッカー、バスケットボール、水泳、自転車競技で発症することも

ランナー膝が発症しやすいスポーツはマラソンなど、ランニングを行う陸上競技です。陸上競技のほか、サッカーやバスケットボールなどの球技でもランナー膝を発症することがあります。


ランニング動作以外にも、水泳や自転車競技など、膝の曲げ伸ばしを繰り返すスポーツでランナー膝を発症するケースもあります。


■ランナー膝の症状


◎膝の外側を押すと痛んだり、走っているときに膝に痛みを感じることがあります

ランナー膝になると膝の外側(腸脛靭帯がある箇所)を押したときに痛みを感じやすいです(「圧痛」と呼びます)。圧痛以外にも、走っているときに膝の外側に痛みを感じることがあります。


◎重度のランナー膝では膝の腱や靭帯が断裂することも

ランナー膝が進行して重度になると、安静時にも膝の外側に強い痛みを感じるようになります。重度のランナー膝では骨とこすれ合ってボロボロになった靭帯や腱が断裂してしまうことも。


■ランニングやジャンプ動作に関連する膝のスポーツ障害


ランナー膝のほか、ランニングやジャンプによる膝の使い過ぎ(オーバーユース)で発症する膝のスポーツ障害には以下があります。


・鷲足炎


鷲足炎(がそくえん)は膝の下のすねの内側にある鷲足という部位が痛む疾患です。ランニングやジャンプなど、膝の使い過ぎにより発症します。


ランナー膝(腸脛靭帯炎)が膝の外側が痛むのに対し、鷲足炎は膝の5cmほど下のすねの内側部分が痛むのが特徴です。


・ジャンパー膝


ジャンパー膝は膝のお皿が痛む疾患です。正式名称を「膝蓋腱炎(しつがいけんえん)」と呼びます。ジャンプや地面を強く蹴る動作など、膝の使い過ぎにより発症します。


・膝窩筋腱炎


膝窩筋腱炎(しっかきんけんえん)は膝の裏が痛む疾患です。ランニングやジャンプなど、膝の使い過ぎにより発症します。歩き過ぎにより発症する場合もあります。


■ランナー膝の治療方法・予防の仕方


治療方法


◎保存療法を中心に治療を進めていきます

ランナー膝は保存療法(手術以外の治療)を中心に治療を進めていきます。


<保存療法で行うこと>


1.ランニングを軽減・中止して安静を保つ


ランナー膝を発症した場合は疾患の原因であるランニングを軽減・中止して膝の安静を保つことが大切です。


安静を保ち、膝の様子を見ながらリハビリ(運動療法・物理療法)を進めていきます。


2.リハビリ(運動療法・物理療法)


≪運動療法≫


安静後、膝周りの筋肉が硬くなったり筋力が低下しないようにするため、運動療法を行います。


運動療法には以下のような種類があります。症状や膝の状態に合わせ、患者様に適したリハビリを進めていきます。


ストレッチ


膝のストレッチを行い、緊張して硬くなった腸脛靭帯や膝周りの筋肉をやわらかくします。


レッドコード


天井から垂らしたロープに足を入れて筋肉トレーニングを行い、膝の可動域を広げます。


マッケンジー法


ご自身で行う体操によりそれぞれの方に合った身体の動かし方や姿勢を見つけ、膝の痛みの軽減を図ります。


≪物理療法≫


入谷式足底板(オーダーメイドで作製するシューズのインソール)


患者様の足の形や姿勢、動作に合わせてオーダーメイドでシューズのインソールを作製します。入谷式インソールをシューズに入れることで痛みの原因となる負担の軽減を図ります。


医師の診査、および、精密検査のデータに基づいて作製するオーダーメイドの入谷式インソールにより、全身の姿勢や運動時の動作を適切にコントロールする効果も期待できます。


3.薬物療法


膝の痛みが強い場合は湿布や内服薬(消炎鎮痛剤)による薬物療法を行い、痛みの緩和につなげます。


4.再生医療


腸脛靭帯の損傷が激しく痛みが強い場合はPRP、PRP-FD療法などの再生医療を行う場合があります。再生医療ではご自身の血液から抽出した血小板を用い、注射により患部に血小板を注入して組織の再生を促します(※)。


(※)再生医療が必要な場合は提携の病院をご紹介いたします。


5.手術


重度のランナー膝で腸脛靭帯が大きく損傷・断裂している場合は手術の適応対象となります。重度のランナー膝の手術法には筋膜切開、腸脛靭帯延長術、大腿骨外側上顆隆起切除術などがあります(※)。


(※)再生医療が必要な場合は提携の病院をご紹介いたします。


ランナー膝は炎症が起きた段階で痛みを感じて膝の動作を軽減・中止するか整形外科を受診することがほとんどのため、腸脛靭帯が断裂するほどまでランナー膝が進行するケースは稀です。


予防の仕方


1.ランニングの軽減・中止


ランナー膝の主な発症原因はランニング(またはジャンプや膝の曲げ伸ばしなど)による膝の使い過ぎです。


ランナー膝を防ぐためには、まずは、原因となるランニング(またはジャンプや膝の曲げ伸ばしなど)動作を軽減・中止することが大切です。


2.ランニングフォーム、トレーニング方法の改善


膝が外に開くような走り方など、誤ったランニングフォームが原因でランナー膝を発症することがあります。フォームの誤りほか、間違った・適切ではないトレーニングで膝に過剰な負荷がかかり、ランナー膝を発症するケースも。


ランニングフォームやトレーニング方法の誤りが原因でランナー膝を発症している場合、フォームやトレーニング方法を改善することで症状が緩和できる場合があります。


3.ストレッチ、アイシング


運動をする前に膝のストレッチを行い、緊張して硬くなった腸脛靭帯をやわらかくすることでランナー膝の予防につながります。運動後のストレッチも腸脛靭帯や膝周りの筋肉をほぐすのに有効です。


ストレッチに加え、運動後に膝の外側の腸脛靭帯のアイシングを行うことで靭帯の炎症を鎮める効果を期待できます。


【膝に痛みや違和感があるときは当院までご相談ください】


ランニングは多くのスポーツで行われる動作であり、膝の使い過ぎによるランナー膝でお悩みの方は少なくありません。陸上競技などの部活動で長距離・長時間を走る中高・大学生のお子さまのほか、趣味のランニング・サイクリングで膝を使い過ぎている方にもランナー膝が見られます。


膝はあらゆる動きの基盤になる足の要(かなめ)です。ランナー膝で痛みがあると膝をかばうために変な走り方になってしまい、骨盤のゆがみによる腰痛、筋肉バランスの乱れによる背中の痛みなど、全身に悪影響が生じることがあります。


膝に痛みや違和感があるときは当院までご相談ください。医師が診査を行い、原因・症状に合わせて適切な治療方法をご提案いたします。



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