「60歳を過ぎてから、膝が痛くて…」
「若い頃は膝の痛みなんてなかったのに…」
高齢者の方に多く見られる症状の一つ、「膝の痛み」。
老化による身体の不調はどなたにも起こり得ます。中でも、60歳以上の高齢者の方に多く見られるのが、「変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)」です。
目次
■変形性膝関節症とは - 原因 –
◎膝の関節の軟骨がすり減り、歩きにくくなる病気です
変形性膝関節症とは、膝の関節の軟骨がすり減り、歩きにくくなる病気です
◎加齢によって身体の水分量が減少することに伴い、膝の軟骨がすり減りやすくなります
変形性膝関節症は主に50歳以上の中高年の方に多く見られます。中高年の方が変形性膝関節症になりやすいのは、加齢により身体の水分量が減るためです。
身体の水分量の減少に伴って膝の軟骨がすり減り、膝関節のクッション機能が低下することで変形性膝関節症を発症します。
◎スポーツや仕事での膝へのくり返しの刺激・大きな負荷も原因に
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スポーツなどでたくさん走っている・くり返しジャンプしている
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スポーツやトレーニングで重い物を持ち上げている
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仕事で重い物を持ち上げている
加齢のほか、上記のようなスポーツや仕事での膝へのくりかえしの刺激・大きな負荷も膝の軟骨がすり減りやすく、変形性膝関節症になる場合があります。
◎女性に多く見られます
50歳以上の中高年の女性に変形性膝関節症が多く見られます。
女性が変形性膝関節症になりやすい理由は、はっきりとはわかっていません。はっきりとはわかっていませんが、以下のような要素で女性が変形性膝関節症になりやすい原因と推測されています。
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男性と比べると女性は膝関節が小さい方が多く、膝関節にかかる負荷に耐えにくい(膝の軟骨がすり減りやすい)
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男性と比べると女性は筋肉が少ない方が多く、膝関節にかかる負荷に耐えにくい(膝の軟骨がすり減りやすい)
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ハイヒールなどの靴を履くことで、O脚になりやすい(不自然な膝の曲がり方が原因で膝の軟骨がすり減りやすい)
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閉経後に女性ホルモン(エストロゲンなど)が減少することで、膝関節の軟骨のコラーゲンの生成が減りやすい
◎肥満も原因の一つ
肥満の方は膝への負担が増すため、変形性膝関節症を発症しやすい傾向が見られます。
◎O脚・X脚が原因になる場合も
O脚・X脚など、不自然な膝の曲がり方が原因で変形性膝関節症を発症する場合があります。
■変形性膝関節症の症状
◎膝関節が痛み、歩き続けられなくなることが多いです
変形性膝関節症の主な症状としては、「膝の痛み」があります。
変形性膝関節症の方は、膝関節が痛み、長時間・長い距離を歩き続けられなくなることが多いです。
◎ちょっと休むと膝の痛みが少しマシになり、歩けるようになる(間欠性跛行)
変形性膝関節症の方は歩いていると膝が痛くなり、ちょっと休むと痛みが少しマシになって、また、歩けるようになる現象が多く見られます。
この、長くは歩き続けられないがちょっと休むとまた歩けるようになる現象のことを「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」と呼びます。間欠性跛行は変形性膝関節症の方に多く見られる特徴的な症状の一つです。
{変形性膝関節症が進行すると、間欠性跛行すらできなくなる場合も}
変形性膝関節症が進行し、膝関節の軟骨のすり減りが大きくなると、間欠性跛行すらできなくなる場合があります。重度の変形性膝関節症ではちょっと休んでも膝の痛みが強く、歩くのが非常につらくなってしまうことも。
◎自転車は乗れるけど、歩くと痛い
変形性膝関節症の方は自転車は乗れる(ペダルは漕げる)けど、歩くと膝が痛い、というケースもあります。自転車には乗れる理由は、歩く動作と比べて、自転車のペダルを漕ぐ動作は地面を蹴ることによる蹴り返しの刺激が少ないためです。
なお、重度の変形性膝関節症では膝が痛くて自転車にも乗れなくなることもあります。
【変形性膝関節症は適切なリハビリが大切です】
中高年の方を中心に、スポーツや仕事による膝への負荷など、どなたにも発症する可能性がある、変形性膝関節症。
変形性膝関節症は適切なリハビリが大切です。整形外科を受診し、適切なリハビリを行うことで膝関節の可動域を広げやすくなります。リハビリには足の筋肉を強化し、膝関節にかかる負荷を減らす目的もあります。
今回は、高齢者の方がなりやすい膝の病気「変形性膝関節症」の原因・症状をご説明させていただきました。
次回のブログでは、高齢者の方が変形性膝関節症のリハビリを行う上で注意したいポイントについて、お話しします。