主に加齢などの原因で膝関節の軟骨がすり減り、膝に痛みを感じやすくなる「変形性膝関節症」。
変形性膝関節症を含め、身体のケガ・不調に対してはリハビリが重要です。リハビリには、以下のような目的があります。
[変形性膝関節症のリハビリの主な目的]
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ストレッチや、レッドコードによる可動域訓練で膝の可動域を広げる
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筋トレで足の筋肉をつけ、膝関節にかかる負担を減らす
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リハビリを継続して現状を維持し、膝関節の症状(膝の痛み、歩き続けられないなど)をこれ以上進行させないようにする
2月のブログでは、変形性膝関節症のリハビリの内容をご紹介させていただきました。
今回は、「高齢者の方における変形性膝関節症のリハビリの注意点」について、お話しします。
目次
■高齢者の方の変形性膝関節症のリハビリで気をつけていただきたいこと
高齢者(中高年)の方のリハビリでは、以下のような点に気をつけましょう。
1.無理をしない
リハビリは無理のないペースで継続することが重要です。
ご自身の身体能力を考慮せず、無理をしてリハビリを行ってしまうと、膝の関節や腱、足の筋肉を痛めてしまうおそれがあります。
2.頑張り過ぎない
変形性膝関節症のリハビリは頑張り過ぎないことが重要です。
整形外科で行うリハビリには、時には、頑張って行わなければならない性質のものもあります(麻痺状態からの回復を目指す場合など)。しかし、加齢が原因の変形性膝関節症は老化現象による膝の不調であり、歯を食いしばりながら頑張ってリハビリを行う性質の病気ではありません。
変形性膝関節症は頑張り過ぎず、ご自身が続けられる無理のないペースでリハビリを行いましょう。頑張り過ぎるのではなく、リハビリを続けることが大切です。
3.「若い頃はできたのに」は忘れる
高齢者の方のリハビリでは、ついつい、「若い頃はできたのに」と過去の自分を振り返る傾向が見られます。
「若い頃はできたのに」は忘れましょう。過去の自分を振り返る傾向がある方は、「リハビリなんてしたところで…」と、リハビリに対して消極的になってしまうことも。
変形性膝関節症のリハビリは、以下の2つが主な目的になります。
[変形性膝関節症のリハビリで目指したいこと]
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現状維持(または、症状の進行を遅らせる)
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今よりも少しだけ、膝の痛みをやわらげる
もちろん、リハビリは膝の可動域を広げたり、足の筋肉をつけるために行うものです。膝の可動域や足の筋力の改善はうながせますが、リハビリを行ったからと言って、若い頃の身体・元通りの膝関節は取り戻せません(リハビリに限らず、人は皆、過去の身体を完全には取り戻せません)。
リハビリを継続して現状を維持できているだけでも、十分、凄いことなのです。
現在の年齢・膝の状態に合わせて、現状維持のため(または、症状の進行を遅らせるため)のリハビリを継続していきましょう。なお、患者様の膝の状態によっては、リハビリを行うことで、今よりも少しだけ膝の痛みがやわらぐ可能性もあります。
4.暑すぎる・寒すぎる環境でリハビリを行わない
高齢者の方においては、暑すぎる・寒すぎる環境でリハビリを行わないことが大切です。
真夏の屋外やエアコンが効いていない真夏の屋内など、気温が高い暑すぎる環境でリハビリを行うと熱中症の危険性があります。
真冬の寒すぎる環境でのリハビリも脳梗塞・心筋梗塞などのリスクがあるため、よくありません。
高齢者の方のリハビリでは、気温に応じて窓を開けたりエアコン(冷房・暖房器具)をつけ、室温を調節しましょう。暑すぎない・寒すぎない、適度な気温(外気)or室温の中で動作を行うことで、温度による熱中症や脳梗塞・心筋梗塞のリスクを減らせます。
【膝の痛みでお困りの方はお気軽にご相談ください】
瀬戸整形外科クリニックでは、リハビリを中心とした、以下のような治療法による変形性膝関節症の治療・ケアを行っています。
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お薬の処方(鎮痛剤、湿布など)
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装具療法(膝サポーター)
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注射(ヒアルロン酸、ジョイクル)
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クーリーフ(膝の知覚神経のみを焼灼し、膝の痛みの緩和を図ります)
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手術(手術が必要と考えられる場合は病院をご紹介いたします)
リハビリメニュー
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ほぐし&ストレッチ
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筋トレ
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運動器リハビリ(レッドコードなど)
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マッケンジー法
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入谷式足底板
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物理療法(温熱器や超音波、レーザーなどを用い、膝の痛みの緩和を図ります)
膝が痛くて長い距離を歩けない、立つ・しゃがむのがツライなど、膝の痛みでお困りの方は当院までお気軽にご相談ください。