洗い物、編み物、車の運転など、日頃から、よく手を使う方に多く見られる手指の症状の一つに「手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)」があります。
手根管症候群になると、慢性的に手指がしびれ、日常生活に支障をきたすケースも。
今回は、慢性的な手指のしびれをひき起こすことがある「手根管症候群」について、ご説明します。
目次
■手根管症候群とは?
◎手首から手指に走る末梢神経が障害を受ける疾患です
手根管症候群とは、手首から手指に向かって走っている末梢神経が障害を受ける疾患です。
何らかの原因により、手首から手のひら・手指に向かってに走る正中神経が圧迫されると、神経が障害を受けて手根管症候群になり、慢性的な手指のしびれが現れることがあります。
■手根管症候群の症状
◎親指、人差し指、中指、薬指の半分が慢性的にしびれるのが特徴です
手根管症候群は、親指、人差し指、中指、薬指の半分(親指側の縦半分)が慢性的にしびれるのが特徴です。
手指のしびれは朝方にでることが多く、洗い物や編み物、自転車・車の運転など、手を使うとしびれが強まりやすいです。
また、手根管症候群の症状の特徴として、手指をふると、少し楽になることがあります。
◎症状が進むと、親指の付け根の筋肉がやせたり、親指の力が落ちる場合も
手根管症候群の症状が進むと、親指の付け根の筋肉がやせることがあります。親指の付け根の筋肉の衰えにより、親指の力が落ち、物を落としやすくなる場合も。
■手根管症候群の原因
◎手の使い過ぎによる手首の神経の圧迫が主な原因
手根管症候群は、手の使い過ぎによる手首の神経の圧迫が主な発症原因です。
家事で洗い物をしたり、趣味の編み物、車の運転など、頻繁に手を使う方に手根管症候群が多く見られます。
◎手の使い過ぎ以外の原因も
手の使い過ぎのほか、以下のような原因で手根管症候群を発症する場合もあります。
・リウマチ
・突発性腱鞘炎
・ガングリオンなどの腫瘍性病変
・アミロイド沈着
・妊娠、授乳
・更年期障害
・原因不明のもの
◎40歳以降の女性に多く見られます
40歳以降の女性に手根管症候群が比較的、多い傾向があります。研究では、家事の洗い物や趣味の編み物で手を使い過ぎたり、リウマチ、妊娠後の更年期障害など、女性特有の要因との関係性が指摘されています。
■手根管症候群の治療方法
手根管症候群に対する治療としては、主に以下のような方法があります。
①安静
治療の基本は、まずは手指・手首をなるべく使わずに安静にすることです。症状によっては手首にサポーターを装着し、安静を図る場合もあります。
②痛み止め・ビタミン剤の内服、湿布、ステロイド注射による薬物療法
痛みに対しては、痛み止めの内服や湿布による薬物療法で症状の緩和につなげます。ビタミン剤(ビタミンB12など)の内服で、手首の神経の保護をうながす場合もあります。
上記のほか、ステロイドを手首の手根管内に注射し、手指のしびれの軽減・手指の機能の回復を図るケースも。
③手術(日帰り手術)
上記の治療を行っても手指のしびれが改善されない場合は、手術を検討します。
手術は局所麻酔で行い、通常、30分程度で終わります(※)。日帰り手術のため、入院は必要ありません。
(※)患者様や手首の状態により、手術時間が異なります。
【当院では、手根管症候群の検査・治療・手術を行っています】
瀬戸整形外科クリニックでは、手根管症候群の検査・治療・手術を行っています。
診療では、血液検査・超音波検査などにより、手根管症候群の有無を慎重に診断します。リウマチなど、手根管症候群の原因が特定の疾患と見られるときは、手根管症候群の治療に加え、原因と見られる疾患の治療も進めていきます。
また、一見すると手根管症候群のようでも、実は頚椎など、ほかの部位の疾患だった…というケースもあります。その場合は、リハビリテーションで改善する可能性が高くなります。
手術は日帰りで、手術時間は30分程度です(※)。局所麻酔(鎖骨部からの超音波ガイドによる伝達麻酔)後、上腕で駆血(血止め)し、手術中の痛みや血止めの痛みがないよう、細心の注意を払い、手術を行います。
(※)患者様や手首の状態により、手術時間が異なります。
術後は、2週間程度で抜糸になります(※)。通常は、術直後から夜間の痛みは消失することが多いです。ただし、手指のしびれ・使いづらさの改善には、術後、数ヶ月間かかるケースも多くみられます。
(※)患者様や手首の状態により、抜糸までの期間が異なります。
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慢性的な手指のしびれがある場合は、当院までお気軽にご相談ください。初診では医師が患者様の手指の状態を確認した上で検査を行い、適切な治療方法をご提案させていただきます。