年齢を重ねるにつれ、どなたも、骨の密度である骨密度が低下していきます。骨密度の低下は40歳ごろを境目に始まりますが、注意が必要なのが骨粗しょう症です。加齢に伴う骨密度の低下以上に骨がもろくなっている方は、骨粗しょう症の可能性があります。
今回は、骨がもろくなる病気の「骨粗しょう症」について、発症しやすい方、症状・原因をご説明します。
目次
■骨粗しょう症とは?
◎骨がもろく、スカスカになる病気です
骨粗しょう症(こつそしょうしょう)とは、全身の骨がもろく、スカスカになる病気です。
骨粗しょう症を発症すると全身の骨がもろく、スカスカになるため、骨折しやすくなります。
◎若い方と比べて、骨密度が70%以下になると骨粗しょう症と診断されます
年齢を重ねるにつれ、どなたも、骨密度は低下していきます。ただし、骨粗しょう症の場合は、加齢によるもの以上に、骨がもろく、スカスカになるのが特徴です。
若い方の平均値(20~30代の骨密度の平均値(YAM値))と比べて、骨密度が70%以下になると骨粗しょう症と診断されます。
■骨粗しょう症を発症しやすい方
◎特に60歳以上の女性が骨粗しょう症になりやすいです
骨粗しょう症は中高年の方に多く見られます。特に、60歳以上の女性が骨粗しょう症になりやすいです。
60代の女性の約5人に1人、70代の女性の約3人に1人が骨粗しょう症と見られています(※)。
(※)日本骨粗鬆症学会 日本骨代謝学会 骨粗鬆症財団
「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」(2015)より引用。
◎女性ホルモンの影響で骨粗しょう症を発症しやすくなると考えられています
年齢に関わらず、人間の骨は常に新しく作られ、古い骨が壊される、という骨代謝が行われています。
骨代謝に大きく関係するホルモンに、女性ホルモンのエストロゲンがあります。エストロゲンは古い骨を壊す作用をゆるやかにする働きがあり、骨代謝に欠かせないホルモンです。
しかし、50歳前後になると女性は閉経によってエストロゲンの分泌が急激に低下していきます。閉経後、10年前後の期間にわたってエストロゲンの分泌が急激に低下していくため、古い骨を壊す骨代謝が加速してしまい、骨密度が大きく減って骨粗しょう症を発症しやすくなると考えられています。
■骨粗しょう症の症状
◎自覚症状に乏しく、ご自身では骨粗しょう症になかなか気づけません
骨粗しょう症を発症すると全身の骨がもろく、スカスカになり、骨折しやすくなります。
骨粗しょう症は自覚症状に乏しく、ご自身では、骨粗しょう症であることになかなか、気づけません。
骨折して骨密度検査を受け、はじめて、骨粗しょう症だったことに気づくケースが多いです。
自覚症状に乏しいため、骨密度の検査を受ける前に、ご自身で骨粗しょう症に気づくことはほとんどありません。
■骨粗しょう症の原因
◎女性ホルモンの影響や、喫煙、飲酒などが関係していると考えられています
骨粗しょう症がなぜ、ひき起こされるのかについては、はっきりとはわかっていません。以下のような要因があると、骨粗しょう症を発症しやすくなると考えられています。
・女性ホルモン(エストロゲン)の分泌の低下(女性の場合)
・喫煙
・飲酒
・カルシウム不足
・日光に当たる時間の不足
・運動不足
・糖尿病
・慢性の腎臓病
・遺伝
・ステロイド薬の使用
【定期的に骨密度検査を受け、栄養と運動で骨粗しょう症の予防効果を高めましょう】
当院では、骨粗しょう症を早期に発見し、早期の予防・治療につなげるために「DXA検査」による骨粗しょう症の検査を行っています。
40歳を過ぎた方は、整形外科で定期的に骨密度検査を受けることで骨粗しょう症の早期発見・早期治療につながります。
定期検査による早期発見・早期治療と併せて、骨粗しょう症は発症する前の予防習慣が大切です。
骨粗しょう症の予防では、カルシウム・ビタミンDを多く含む食事で「栄養」を摂ること、および、「運動」で骨を刺激し、骨密度を増やすことが重要になります。
40歳を過ぎた方は、整形外科で定期的に骨密度検査を受けると共に、栄養と運動の2本柱で骨粗しょう症の予防効果を高めましょう。