野球と並んで根強い人気があるスポーツ、サッカー。小中高生では部活動でサッカーをするお子さまが多く、近年は、フットサルを行う大学生・社会人の方も。
人気のサッカーですが、野球に野球肩があるように、サッカーの主なスポーツ障害には「サッカー膝」と呼ばれる膝周りの障害があります。
今回は、サッカーをしている方がなりやすい膝周りの障害「サッカー膝」について、原因・症状・対処方法をご紹介します。
目次
■サッカー膝とは
◎ボールを蹴る、走るなど、サッカーの動きに伴うスポーツ障害
サッカー膝とは、ボールを蹴る、走る、ジャンプする、方向転換など、サッカーの動きに伴う膝の使い過ぎ(オーバーユース)、または、相手選手とのコンタクトプレーによって発症することがある膝周りのスポーツ障害です。
サッカー膝は、痛む箇所によって以下の3つに分類されます。
①膝周りの骨・軟骨、関節の滑膜に関係しているもの(半月板損傷・タナ障害)
②膝周りの腱に関係しているもの(ジャンパー膝)
③膝周りの靭帯に関係しているもの(内側側副靭帯損傷・前十字靭帯損傷)
次の項からは、上記3種類のサッカー膝について解説していきます。サッカーをしている方、また、飛び跳ねる・走る動作をすることが多いバスケットボールやバレーボールなどのスポーツを行っている方は、ご自身に当てはまる症状がないか、チェックしてみましょう。
①膝周りの骨・軟骨、関節の滑膜に関係しているもの(半月板損傷・タナ障害)
◎半月板損傷
半月板損傷とは、膝の半月板に亀裂が入るスポーツ障害です。サッカーにおいては、半月板の外側部分が損傷するケースが多く見られます。
◎タナ障害
タナ障害とは、膝関節の滑膜ひだに炎症が起きるスポーツ障害です。サッカーにおいては、膝をひねる・曲げ伸ばす動作をくり返すこと(オーバーユース)でタナ障害が起きる場合があります。
原因
・膝をひねる動作(切り返し、インサイドキック、インサイドでのボールのブロックなど)
・膝を曲げ伸ばす動作
・コンタクトプレー(相手選手からの膝下へのスライディングなど)
症状
・膝が腫れる
・膝を曲げるとひっかかる感じがある
・膝を曲げると痛む
・膝を曲げづらい
・膝が曲がったまま、動かせなくなる(ロッキング症状)
対処方法
・安静
・痛み止めの内服
・理学療法(リハビリ:運動療法、物理療法)
・手術(半月板の損傷が大きい場合)(※)
(※)手術が必要な場合は提携の病院をご紹介いたします。
②膝周りの腱に関係しているもの(ジャンパー膝)
◎ジャンパー膝
ジャンパー膝とは、膝のお皿の下の膝蓋腱や膝蓋大腿靭帯が炎症を起こすスポーツ障害です。サッカーにおいては、特にジャンプ動作が多いゴールキーパーにジャンパー膝が多く見られます。ゴールキーパー以外にも、ヘディング時のジャンプのし過ぎが原因でジャンパー膝をひき起こすこともあります。
原因
・ジャンプする動作
症状
・ジャンプ時に膝が痛む
・階段の昇り降りの際に膝が痛む
・膝が痛く、しゃがみづらい・しゃがめない
・膝が痛く、全力で走れない
対処方法
・安静
・痛み止めの内服
・注射(ヒアルロン酸など)
・理学療法(リハビリ:運動療法、物理療法)
③膝周りの靭帯に関係しているもの(内側側副靭帯損傷・前十字靭帯損傷)
◎内側側副靭帯損傷・前十字靭帯損傷
靭帯損傷とは、膝の靭帯が損傷するスポーツ障害です。サッカーにおいては、膝の内側の靭帯が傷つく内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)損傷が多く見られます。内側側副靭帯に次いで多いのが、膝の前側の靭帯である前十字靭帯損傷です。
原因
・コンタクトプレー(相手選手との膝の接触、相手選手からのタックル・スライディングなど)
・ボールを蹴る際に空振りする動作
症状
・膝が腫れる
・膝の内側(内側側副靭帯)or前側(前十字靭帯)が強く痛む
・膝を曲げづらい
・階段の昇り降りの際に膝が強く痛む
・椅子に座るときに膝が強く痛む
対処方法
・安静
・痛み止めの内服
・膝サポーターの装着
・理学療法(リハビリ:運動療法、物理療法)
・手術(年齢や活動量によります)(※)
(※)手術が必要な場合は提携の病院をご紹介いたします。
【膝周りの痛み・違和感があるときは当院までご相談ください】
サッカー膝の症状を軽減するためには、まずは、サッカーを休んで安静にすることが大切です。軽度のサッカー膝であれば、数日~数週間、安静にすることで症状が改善されるケースもあります。
サッカーをしている方で、上記のような膝周りの症状があるときは当院までご相談ください。診察では医師が膝の状態を確認・検査し、それぞれの患者様に合った適切な治療・リハビリをご提案させていただきます。